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松枯れ(その2)

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前回は松の被害について述べたが、今回はその診断と防除時期について述べる。



マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウのライフサイクル


越冬したカミキリムシは5月中旬から7月中旬にかけて枯死したか、枯れかかった松の幹から成虫になって出てくる。この時、カミキリムシの身体には多いもので5万匹近くのセンチュウを持っていると言われている。
 
飛び出したカミキリムシの成虫は松の新芽か昨年度伸びた枝の樹皮を食用としているので健全な松樹の先端部分に集まり、樹皮をかじるように食害する。
 
カミキリムシが樹皮をかじり始めるとカミキリムシの体内に侵入していたザイセンチュウがカミキリムシの気門(腹部にある呼吸をするための穴)より飛び出し、食痕(かじった痕)より松樹の中に侵入する。


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夏場、高温になると松樹の枝でザイセンチュウは急激に増殖を繰り返し、松樹全体にいきわたる。
 
このザイセンチュウの影響で樹の導管細胞は根から土壌中の水分を松葉に送る重要な役割をはたせなくなり、樹幹基部で松樹は水分補給作用を停止してしまう。この事により松樹はいちょう症状を呈し、大木でも急激に枯れる現象を起こす。この症状は7月から10月にかけて多く見られる。
 
カミキリムシはこの衰弱・枯死した松の幹や枝に7月から9月にかけて産卵する。カミキリムシが健全な松に産卵した場合、松脂が出て卵を覆う事が多いのでふ化する事が出来にくい。
 
一方、松樹に潜入したザイセンチュウは樹幹内で交尾・産卵を繰り返し増え続ける。
 
カミキリムシの卵は7日程でふ化する。ふ化した幼虫は松樹の内樹皮等を加害しながら成長し11月には蛹室を作り蛹になる準備をして冬を越す。
 
カミキリムシの幼虫は4月から6月にかけて蛹になり、蛹は15から30日で成虫になる。この頃、松樹のザイセンチュウは蛹に集まり、カミキリムシの体内に侵入する。
 
体内にザイセンチュウを持ったカミキリムシが5月から7月にかけて飛び回り、松枯れ病を伝播して廻る。
 
早く羽化(成虫になる)した個体は夏にもう一世代繰り返す。


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↑マツノザイセンチュウ

診断


 ザイセンチュウが侵入し、松樹で増殖を始めると松は衰弱をする。この時、松脂が出にくくなるので、診断したい松の地上から約1mあたりの高さ(胸高)に7から9mmのポンチで穴を開け樹皮を取除くと20から30分程で松脂がにじみ出てくる。脂が出ないか、極端に少ない時は既にザイセンチュウが侵入していると判断して間違いは少ない。


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↑松脂で判断 松が極めて健全な状態
 (ポンチで開穴後30分の松脂の状況)
 最近、ザイセンチュウが侵入してもその年に松は枯れずに翌年、またはその次の年(翌翌年)に枯れるケースも増えてきているので、上記の診断は地味だが是非行って欲しい。

 診断時期は松樹の生育がおおせいな秋か春が適切と思われる。松樹をみてその生育状態で被害の診断をする人も多いが、専門家でないと判断できない事が多すぎるのでお勧めできない。


(造園連新聞17年11月1日付、
 975号掲載)
<文と写真>
  (株)三共緑化 顧問 井村光男
一般社団法人
日本造園組合連合会
(略称:造園連)

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